「SDGsについて学ぶ」と聞くと、教室で講義を受けたり、資料を読んだりすることを思い浮かべるかもしれません。

しかし、持続可能な社会をつくるために本当に必要なのは、知識を得ることだけではありません。地域で実際にどのような取り組みが行われているのかを知り、そこで働く人々の声を聞き、自分自身で考え、異なる背景を持つ仲間と意見を交わしながら、「自分なら何ができるだろう」と考えること。

そんな学びの場として、IGESは今年も「Kitakyushu SDGs Training 2026」を開催しました。公募から選抜されたアジア、アフリカ、アメリカ等からの留学生や日本人大学生が計17名、北九州市に集まりました。

この研修は2019年から毎年開催しており、今回で8回目。2026年は、IGESが、北九州市とJICA九州の協力を得て、8月24日~28日に実施しました。研修の大きな目的は、国際的な若者と地域社会をつなぎ、持続可能な社会の担い手を育成することです。

「見る・聞く」だけではない、北九州だからこそできる学び

今年の研修では、SDGsを一つひとつ個別に学ぶのではなく、「ゼロカーボン」「サーキュラーエコノミー」「ネイチャーポジティブ」という3つのテーマを軸に、それぞれの取り組みがどのようにつながり、相乗効果を生み出せるのかを考えました。

研修のスタートでは、SDGsに関する背景講義や「2030 SDGs Game」を通して、参加者同士が交流しながら、持続可能な社会について考える土台をつくりました。

その後は教室を飛び出し、北九州市内のさまざまな現場へ。

ゼロカーボンをテーマにした日は、次世代エネルギーパークや洋上風力発電施設を訪問。さらに、風力発電設備のメンテナンスや人材育成に取り組む企業を訪れ、再生可能エネルギーを「つくる」だけではなく、それを「支える」技術や人の存在についても学びました。最後には海岸清掃も体験し、エネルギーと地域環境のつながりを自分たちの身体で感じる機会となりました。

サーキュラーエコノミーの日には、環境ミュージアムや地域企業を訪問。環境ミュージアムでは、北九州市の公害克服の歴史から、現在の課題に活かせるヒントを探りました。伝統的な織物を活用した廃プラスチックのアップサイクル製品や、スポーツを通じたサステナビリティへの取り組みなどを学び、環境問題を「廃棄物」や「資源」だけの問題として捉えるのではなく、地域の産業や文化、スポーツなどと結びつけて考えました。

そして、ネイチャーポジティブをテーマにした日は、響灘ビオトープ内を歩いて、生物多様性や自然再生の現場を体験。さらに、竹を活用した製品づくりに取り組む企業や竹害問題に取り組む大学研究室を訪れ、地域にある自然資源をどのように循環させ、価値へと変えていくのかを学びました。

講義を聞き、企業や施設を訪れ、自然に触れ、地域の人々の取り組みを知る。

そうした一連の体験を、自分自身の言葉やイメージに置き換えることで、参加者それぞれが「持続可能な社会とは何か」「自分は何を担えるのか」を考えました。

北九州での体験を、それぞれの未来へ

この研修が目指しているのは、たくさんの知識を身につけることだけではありません。多様な背景をもつ若者が北九州の企業や行政、地域で活動する人々と出会い、実際の現場を見る。その中で生まれた疑問や気づきを仲間と共有し、自分なりの視点から未来の社会を考える。

そして、北九州で得た経験を、それぞれの将来の活動へつなげていく。

「Connecting Global Youth to Local Region(世界の若者と地域をつなぐ)」という考え方のもと、参加者と地域の双方に新たな学びやつながりが生まれることを目指しています。

北九州には、公害克服の経験をはじめ、環境・エネルギー、資源循環、自然再生など、持続可能な社会づくりに関するさまざまな実践があります。今回の研修では、そうした「北九州での実践」を実際に見て、聞いて、体験しました。

ここで生まれた気づきや問いが、参加者の次の一歩につながり、さらに世界のさまざまな地域へと広がって、持続可能な未来をつくる新たなつながりとなることを期待しています。

「北九州SDGs研修2026」の概要
  https://www.iges.or.jp/jp/events/20260824-0828
  (20+) [Activity… – IGES 北九州アーバンセンター – IGES Kitakyushu Urban Centre | Facebook

執筆者 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)北九州アーバンセンター 総務課長 安東 章子