いまや再生可能エネルギーの代表格である太陽光発電ですが、その発電の仕組みについてご存じでしょうか?できるだけわかりやすく解説したいと思います。

ほとんどの発電方式が、蒸気や風、水などの力でタービンを回転させて発電しています。一方太陽光発電は、太陽の光を太陽光パネルに当てる事で直接電力を作る発電方式です。では、その太陽光パネルの仕組みはどうなっているのでしょうか?太陽光パネルは、光を電気へ変換する太陽電池が搭載されており、その太陽電池は半導体が組み込まれています。

半導体って何?

そもそも半導体って何?です。物質の特性として電気を通す鉄や銅などの「導体」と、電気を通さないゴムやガラスなどの「絶縁体」があります。その「導体」と「絶縁体」の中間の性質を持ち、光や熱などの条件によって電気を通したり通さなかったりする物質が「半導体」です。シリコンやゲルマニウムが半導体材料として良く知られています。

N型半導体とP型半導体

半導体に不純物を添加すると特性が発生します。
一つがN型半導体で自由電子が1つ余った状態になっています。不純物としてはリン、ヒ素などが使われます。もう一つはP型半導体でこちらは逆に電子が1つ欠けた状態になっています。不純物としてはホウ素が使用されます。ちなみにN型とP型のNとPですが、Negative(負)とPositive(正)の頭文字からとっています。
このN型半導体とP型半導体の特性を利用して発電を行います。

太陽電池

それぞれの特性からN型半導体は電子を放出しやすく、P型半導体は電子を受け取りやすい構造になっています。太陽電池はこの2つの半導体を貼り合わせて構成されています。太陽電池が光を吸収すると、N型半導体の電子がP型半導体へ移動します。光を吸収している限り電子の移動を繰り返し、電気が発生します。これが太陽光発電の仕組みです。

発電効率

発電効率とは、発電するためのエネルギーが、電気エネルギーにどれだけなるかの割合のことです。現時点では太陽光発電の発電効率は約20%程ですが、効率を上げるべく日々研究開発が行われています。
太陽光パネルの設置条件によっても発電効率は大きく変わってきます。設置の際には1日の日射量、太陽への向き/角度、表面の汚れなどにも注意が必要です。また、太陽光発電は実は高温に弱く、パネルの表面温度が25℃を超えると発電効率が下がってしまいます。イメージ的には真夏が一番発電しそうなのですが、実は春や秋の方が発電効率は高いそうです。

まとめ

現在主流となっているシリコン系太陽電池は、1953年にアメリカのベル研究所で開発されたそうです。今や、住宅の屋根やメガソーラー設備など、あちらこちらで見かける、かなり身近な存在になった太陽光発電ですが、その発電方法についてちょっとだけ理解すると、見方が変わってきたりしませんか?
太陽光発電は今後の技術革新への期待が高い分野です。その中でも薄くて軽くて柔軟な「ペロブスカイト太陽電池」などの新技術の実用化が待たれます。

「ペロブスカイト太陽電池」は桐蔭横浜大学の 宮坂特任教授が発明したことで有名ですが、また、特殊な鉱物などは使わず、比較的手に入りやすいヨウ化鉛やメチルアンモニウムなどが素材になっていることにも注目です。このヨウ化鉛の原料になるヨウ素ですが、日本は世界第二位の生産量を誇ります。日本の未来に大いに貢献してくれそうです。引き続き注目していきたいと思います。