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- 2026.5.28
- GXコラム
【GXコンソ事務局員のつぶやき】時間軸・空間軸(後編)
既に再生可能エネルギーによる発電の方が安くなっている他国と日本のどこが違うのか。地理的事情とか隣国との関係とか経済構造とか、事情は色々あると思うのですが、私がここ数年一番重要な点だと思うのは、「時間軸」と「空間軸」の認識の違いです。皆さんは、日々の生活の中で何年後、あるいは何年前までを視野に入れて過ごされていますか? また、同じ地球で起こっている出来事について、どこまで遠くのことを自分ごとと捉えていらっしゃいますか? 前回の「つぶやき」で書いたアフリカでの出来事はすっかり他人事でしょうか? あるいは、同じ時代を生きる隣人の抱える問題として「なんとかしなければ」と思えるでしょうか? GXの問題は、この「時間軸」「空間軸」に関する視野が広ければ広いほど自分ごととしての認識が高まり、具体的な取組が始まったり、先ほどの「声」が高まったりすると思っています(さらに言えば、今起こっている社会問題は、この「時間軸」「空間軸」の認識の拡がりでほとんど解決するのでは、とも私は考えています)。
もちろん、「将来のことを考えて今を犠牲にしましょう」とか「世界を心配して日本は苦労を受け入れましょう」というのは違うと思います。が、「時間軸」「空間軸」の認識の広がりがあれば、「現在」と「将来」、あるいは「ここ」と「遠いところ」について、もっとバランスのとれた行動・判断ができるように思いますがどうでしょうか?
学術的には様々な見解があるようなので、あくまで個人的な印象でしかありませんが、国の制度をつくるリーダーとか、産業界を引っ張るリーダーとかを比較した場合に、この「時間軸」や「空間軸」(あるいは、時間的・空間的な視野の広さ)について、日本はヨーロッパと比べて短い・狭い印象です。例えば、直接的な指標ではないですが、IMDという組織が出したWorld Talent Ranking 2025というレポートでは、世界の69カ国を調査した結果、日本の企業幹部の国際経験のレベルは、69カ国中69位(最下位)とされており、「空間軸」の視野の広さには課題がありそうです。
では、GXについては欧米が絶対的に優れているかというと、そうではないと思います。例えば欧州では、バッテリーや建材、包装材や電子機器など、様々なものにGXの観点からの規制を現在強化しつつあるわけですが、それは、「GXや脱炭素の観点が経済活動に重要と気づいたからルール化しよう」という動きと理解できます。一方の日本ですが、例えばノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏が以前世界キャンペーンを打ったとおり、「もったいない(Mottainai)」という考えが伝統的に根付いており、「欧州の気付きを先取りしていた」とも言えます。経済活動の社会的なインパクトを当然のように考える近江商人の「三方よし」の考え方や、「お天道様が見ている」とか「バチが当たる」という日本人なら当然のように知っている感覚も、「時間軸」「空間軸」についてとても広い視野から認識しているものであり、日本人本来の社会認識は、欧米より遥かに先をいっていたと言えます。
ただ、自然信仰やアニミズムにも繋がる日本人のこの高度な世界観・社会観について、残念ながら現代の日本の社会経済制度・ルールにはうまく反映されておらず、結果、GXの取組についても欧米(特にヨーロッパ)に遅れをとっているような状況なのではないでしょうか。「もったいない」といった日本に本来ある感覚を具体的にどう世界の社会経済ルールに適応することができるかを主張できれば、GXや他の分野でも、日本が再び世界をリードすることができるように思いますがどうでしょうか。この「時間軸」や「空間軸」、皆さんの日々の中で、もう少しだけ意識してみませんか?(偉そうな見解ですみません! でも、今の日本では「それどころではない」と忘れられていて、それこそ「もったいない」と思う次第です。)