私たちは日常生活や企業活動の中で、電気を使ったり、物を運んだり、製品を製造したりする過程でCO₂(二酸化炭素)を排出しています。
しかし、そのCO₂は排出された後、どこへ行くのでしょうか。

CO₂は排出された後、『空気中に広がって薄まって終わり』と思われるかもしれません。
しかし実際には、その一部は数十年から数百年にわたり大気中に残り続けるのです。

CO₂の一部は森林や海洋に吸収されます。樹木は光合成によってCO₂を取り込み、海洋も大量のCO₂を吸収する働きを持っています。
しかし、これらの吸収能力には限界があります。人間活動による排出量がそれらの吸収量を上回る状態が続くと、
大気中に残るCO₂は増え続けることになります。

ここで浴槽をイメージしてみてください。

CO₂の排出を「バスタブに注ぐ水」、森林や海洋による吸収を「排水口」に例えると分かりやすくなります。
排水口から水が流れ出ていても、それ以上の量の水を注ぎ続ければ浴槽の水位は上がります。現在の地球も、排水量を上回るペースで水を注ぎ続けているバスタブのような状態にあると言えます。
(バケツを例えに説明している事例もあります。)

そして、この蓄積されたCO₂が地球温暖化の主な原因の一つとなっています。
実際に、気候科学の分野では地球の平均気温上昇と累積排出量の間に強い関係があることが知られています。

このため、気候変動の分野では単年の排出量だけでなく、これまでに排出されたCO₂の合計量である「累積排出量」が重視されており、世界各国は温暖化を一定水準に抑えるために、将来にわたって排出できるCO₂の総量、いわゆる「カーボンバジェット」を意識した政策や目標を掲げています。

では、GXとはどう関わってくるのでしょうか?

CO₂は排出後すぐに消えるわけではなく、大気中に蓄積されるため、排出量を少しずつ減らすだけでは累積排出量は増え続け、温暖化への影響も積み上がっていきます。だからこそ、バスタブの水が満杯にならないように、エネルギーの使い方や産業構造そのものを変えて、CO₂をできるだけ排出しない社会へ移行する必要があるのです。

そのための取組が「GX」です。

再生可能エネルギーの導入、省エネルギーの推進、運輸部門の電動化、資源循環の強化などは、代表的なGXの取組ですね。
これらは単なる「環境対策」ではなく、将来の累積排出量を抑えながら、新たな産業や市場の創出、企業競争力の強化につながる取組とも言えます。

一方で、GXの推進には設備投資や技術開発、人材の確保など、多くの企業が単独では解決しにくい課題があります。
そのため、企業だけでなく、行政や支援機関、地域社会など、さまざまな主体が連携しながら取り組んでいくことが重要です。

これまでのCO₂排出の積み重ねが現在の気候変動につながっているように、これからのGXの取組もまた、一つひとつの積み重ねが未来を形づくります。
私たちもコンソーシアム事務局として、皆さまとともに何ができるのかを考え、対話を重ねながら、新たな取組や連携の輪を広げていきたいと思います。