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- 2026.7.27
- GXコラム
【GX担当者必見!】GXはコストではなく成長戦略-北九州GXビジネススクール開発責任者が語る、企業が今学ぶべき理由
GXは「環境対策」から「経営戦略」の時代へ
脱炭素、エネルギー価格の変動、サプライチェーンからの要請、ESG経営――。
近年、GX(グリーントランスフォーメーション)は、大企業だけでなく、中小企業にとっても避けて通れない経営テーマになっています。
一方で、
「GXが自社にどう関係するのか分からない」
「何から始めればよいか分からない」
「社内に推進できる人材がいない」
と感じている企業も少なくありません。
こうした悩みに応えるため、北九州GX推進コンソーシアムでは、GXを経営や事業に生かせる人材を育成する「北九州GXビジネススクール」を開講しています。
今回は、カリキュラム開発・運営を担当する公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)の赤木氏に、企業が今GXを学ぶ理由、スクールの特徴、受講によって得られるもの、そしてカリキュラム開発の舞台裏を伺いました。

— なぜ今、GXを学ぶのか
---なぜ、今GXを学ぶ必要があるのでしょうか。
気候変動の影響が顕在化し、人々の価値観や企業に求められる役割も変わっています。世界中の情報がリアルタイムで共有される今、企業には「何をつくるか」だけでなく、「どのようにつくるか」も問われます。環境や社会に配慮した事業活動が、企業への信頼や競争力につながる時代になってきています。
ただし、GXを制度や規制への対応として捉えるだけでは、長続きしません。大切なのは、GXが自社にとってどのような意味を持ち、どのような価値や成長につながるのかを理解することです。特に中小企業では、日々の業務が優先され、GXを考える時間を確保しにくいのが現状です。
しかし、経営環境が大きく変わる時期には、新しいビジネスチャンスも生まれます。変化を負担として受け止めるのではなく、自社の経営や事業を見直す機会に変える。そのための学びの場が必要だと考えています。
---GXは本当に企業の成長につながるのでしょうか。
「GXはコストや負担でしかない」と考えられがちですが、長期的には企業の成長につながる可能性があります。
取り組みを始める際には、業務の見直しや設備投資が必要になることもあります。一方で、エネルギーや資源の使い方を見直せば、コスト削減や生産性向上につながります。さらに、環境に配慮した製品やサービスの開発、取引先からの要請への対応、人材の確保、新たな市場への参入など、中長期的な競争力にも関係します。GXは、単なる環境対策ではありません。自社の経営を見直し、未来に備えるための投資です。
また、「一社だけが取り組んでも意味がない」という声もあります。しかし、一社一社の取り組みが、取引先やサプライチェーン、地域へと広がることで、大きな変化につながります。だからこそ、一社で抱え込まず、異なる企業や専門家と学び合いながら進めることが重要です。
---GXを推進できる人材には、どのような力が必要ですか。
「腹落ち」と「読み替える力」です。
まず、なぜGXに取り組むのかを、自分自身が納得する必要があります。GXを環境対策や制度対応ではなく、経営や競争力に関わるテーマとして理解することが、行動の出発点です。
もう一つは、制度や先進事例を自社に合わせて読み替える力です。他社の成功事例をそのまま導入しても、同じ成果が出るとは限りません。「自社ではどう生かせるか」「現在の経営課題とどう結び付けるか」を考える必要があります。
GXを取り巻く環境は変化が速く、一つの正解があるわけではありません。知識を得るだけでなく、自社に応用し、行動に変える力が求められています。
— 北九州GXビジネススクールの特徴
---スクールで最も大切にしていることは何ですか。
「学んで終わり」にしないことです。
GXに関する知識は、書籍やオンライン講座でも得られます。しかし、知識を得ただけでは、自社の行動にはなかなかつながりません。
本スクールでは、講義を聞くだけでなく、講師との対話や受講生同士の議論を通じて、学んだ内容を自社に置き換えて考えます。目標は、「自社のGX経営を語れるようになること」です。専門用語を説明するだけでなく、自社にとってGXとは何か、なぜ取り組むのか、これから何をするのかを、自分の言葉で話せる状態を目指します。
---スクールでは、どのように学ぶのですか。
社会の変化を知るところから始め、最後は自社の行動まで具体化します。

まず、国内外の動向やGXが求められる背景を理解します。その後、企業経営、排出量の見える化、エネルギーや資源の効率化、製品・サービスの開発、人材育成など、具体的なテーマへと学びを深めます。最終的には、「自社では何をするのか」をアクションプランとして整理します。
GXは制度や技術だけで進むものではありません。経営、製造、営業、財務、人事、新規事業など、企業活動のさまざまな領域に関係します。そのため、本スクールではGXを入口に、資源循環、人材不足、サプライチェーン、事業継続、地域との関係など、サステナビリティに関わる幅広い経営課題についても考えます。
GXを単独の環境課題として扱うのではなく、自社が抱えるほかの課題と結び付けて考えることが、実践への近道になります。
---他のGXスクールや研修との違いは何ですか。
「実装」まで見据えていることです。
本スクールは、IGES、北九州市、公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)、北九州工業高等専門学校が、それぞれの知見やネットワークを持ち寄って運営しています。さらに、企業、金融機関、大学、専門家など、多様な立場の講師から学ぶことで、一つの専門分野に偏らず、経営全体を俯瞰できます。
さらに、受講生同士の対話も大切にしています。異なる業種の企業と話すことで、自社だけでは気付かなかった視点や、他業界の工夫に触れることができます。共通する課題が見つかったり、企業同士の新たな連携につながったりすることもあります。
専門家から学ぶことと、地域企業同士が学び合うこと。その両方を通じて、自社の行動を具体化できる点が特徴です。

---なぜ、対面開催・有料にこだわったのですか。
学びを一過性で終わらせないためです。
本気でGXに取り組みたい企業に参加していただき、全6回を通じて学びを深めることを重視しています。継続して参加することで、受講生同士の関係が深まり、自社のアクションプランも少しずつ磨かれます。対面だからこそ生まれる率直な対話や、偶発的な出会いも大きな価値です。
一方で、業務と両立できるよう、登録者が出席できない場合には社内の代理の方が参加できるほか、講義動画を共有する仕組みも設けています。
参加しやすさに配慮しながら、継続的に学び、実践につなげるという軸は大切にしています。
— 受講すると得られること
---どのような企業におすすめですか。
業種や企業規模を問わず、幅広い企業に参加いただけます。
特に、
「GXの全体像を短期間で把握したい」
「GX推進や新規事業を任されたが、社内に相談相手がいない」
「GXを経営や事業にどう取り入れればよいか分からない」
「社員に経営視点でGXを考えてほしい」
といった企業におすすめです。
これからGXに取り組む企業だけでなく、すでに省エネルギーや排出量の見える化を始めているものの、それを経営戦略として整理できていない企業にも役立ちます。
---GXについて、企業はどのような悩みを抱えているのでしょうか。
最も多いのは、「GXが自社にどう関係するのか分からない」という悩みです。
すでに何らかの取り組みを行っていても、その価値や経営上のメリットを社内で説明できていないケースもあります。また、担当者が一人で情報収集を続けているものの、社内の理解を得られず、具体的な行動に進めないこともあります。
GXは環境担当者だけの仕事ではありません。経営、製造、営業、財務、人事など、複数の部門に関係します。まず全体像をつかみ、自社にとっての意味を整理し、社内で共有できる言葉を持つことが重要です。
そのため、本スクールでは、その共通認識を社内でつくりやすくするため、1社2名までご参加いただけます。例えば、総務部門と事業部門など、異なる立場の方が一緒に受講することで、学びを社内に広げやすくなり、具体的な行動にもつながりやすくなります。
---受講すると、どのような成果を持ち帰ることができますか。
大きく三つあります。
一つ目は、GXを経営の視点から捉えるための知識と考え方です。政策、市場、取引先、金融機関などの動きを知ることで、これからの経営環境を読み、自社への影響を考えられるようになります。
二つ目は、自社のアクションプランです。自社の現状や課題を整理し、何から始めるのか、どのような体制で進めるのかを具体化します。受講後は、社内提案や実践の土台として活用できます。
三つ目は、講師や異業種の受講企業とのネットワークです。GXは、一度学べば終わるテーマではありません。分からないことを相談し、他社の事例を共有できる関係は、受講後も大きな財産になります。
必要に応じて、北九州GX推進コンソーシアムの支援メニューも活用しながら、アクションプランを次の取り組みへ発展させることができます。
---受講企業には、どのような変化や成果が生まれていますか。
受講後、GX推進の担当者として社内外で中心的な役割を担ったり、新規事業や脱炭素プロジェクトを立ち上げたりする方が増えています。学んだ内容を社内で共有し、経営者やほかの部門を巻き込みながら、取り組みを進めている例もあります。また、受講企業同士の情報交換や連携が、スクール終了後も続いています。
すぐに大きな成果が出るとは限りません。しかし、社内でGXについて話せる人が増え、企業同士のつながりが生まれることは、変化を起こす重要な土台になります。スクールの修了はゴールではなく、実践のスタートです。
— スクールづくりへのこだわり
---このカリキュラムは、どのように開発されたのですか。
初年度は、およそ半年をかけて準備しました。きっかけは、北九州市から「GXを推進できる地域企業の人材育成プログラムを一緒に考えられないか」とご相談をいただいたことです。
IGESは、研究成果を社会実装につなげることを重視しています。GXも、優れた制度や技術があるだけでは進みません。それを企業や地域で実践する人材が必要です。そこで、知識を提供するだけではなく、企業が自ら考え、行動を始められるプログラムをつくりたいと考えました。
特に時間をかけたのは、講義テーマを決めること以上に、「どのような人材を育てたいのか」「どのようなスクールを目指すのか」という認識を、関係団体で共有することでした。北九州市、FAIS、北九州高専、IGESが意見を出し合い、スクールの目的と受講後に目指す姿について丁寧に議論しました。
こうして共有した考え方が、現在のカリキュラムの土台となり、その後の継続的な改善にもつながっています。
---カリキュラムは毎年見直しているのですか。
はい。制度や市場環境の変化に合わせ、毎年見直しています。
GXを取り巻く状況は、速いスピードで変化します。企業が押さえるべき政策や市場動向、技術やサービス、取引先や金融機関から求められる対応も変わります。そのため、同じ内容を繰り返すのではなく、その時々に企業が知っておくべきテーマを取り入れています。
また、受講生や講師からの声も、カリキュラムの改善に欠かせません。どの内容が実践に役立ったのか、さらに学びたいテーマは何か、参加しやすい運営になっているか。こうした意見を反映し、より実践的で参加しやすいプログラムへ改善しています。
カリキュラムは、一度完成したら終わりではありません。企業や社会の変化に合わせて、スクールも進化し続ける必要があると考えています。
---今後、どのような企業や団体との連携を広げていきたいと考えていますか。
新たに協力いただける企業や団体との連携にも、積極的に取り組みたいと考えています。
GXには、エネルギー、ものづくり、金融、デジタル、人材、資源循環など、幅広い知見が必要です。北九州にはもちろん、全国にも独自の技術やサービス、実践経験を持つ企業や団体が数多くあります。そうした皆さまに講師や事例提供者としてご協力いただくだけでなく、受講企業との対話や交流を通じて、新しいアイデアやビジネスが生まれるような場もつくっていきたいと考えています。
私たちが目指しているのは、運営側が完成した答えを提供するスクールではありません。企業や大学、支援機関など、多様な主体が知見を持ち寄り、地域や業種を越えて学び合い、新たな価値を共に生み出していく場です。そうした共創の輪を、これからも広げていきたいと思っています。
---現在、スクール運営で最も大きな課題は何ですか。
スクールの価値を、本当に必要としている企業へ十分に届け切れていないことです。
受講企業からは高い評価をいただいていますが、「GXは大企業の話」「まだ自社には関係がない」と感じている企業も少なくありません。
しかし、本当は、そのような企業にこそ参加していただきたいと思っています。経営環境が変化してから慌てて対応するのではなく、今から情報を得て、自社にとって何が重要かを考えておく。それだけでも、将来の選択肢は大きく変わります。
GXを特別な環境活動ではなく、これからの企業経営を考える視点として伝え、一歩踏み出すきっかけを提供すること。それが、現在のスクール運営における最も大きな課題だと考えています。
---このスクールを通じて、実現したいことは何ですか。
GXについて自然に話せる人が、地域企業の中に増えることです。
GXは、一部の専門家や環境担当者だけが考えるものではありません。経営や事業を考える際に、環境や社会の変化を踏まえることが当たり前になっていく必要があります。
GXを入口に、自社のエネルギーや資源の使い方、人材、取引先との関係、事業継続、新しい製品やサービスなどを見直すことで、ほかの経営課題の解決にもつながります。
社内でGXについて話せる人が増えれば、新しい提案や挑戦も生まれやすくなります。企業同士が知識や悩みを共有できれば、一社では難しい取り組みも進められるようになります。
そうした企業が地域に増えることで、地域産業の競争力や変化に対応する力も高まっていくでしょう。
経済・環境・社会を統合的に考え、行動できる人材が地域に増えること。その先に、企業の成長と、より持続可能な地域の未来があると考えています。

GXを「知る」から「実践する」へ
GXは、もはや一部の企業だけのテーマではありません。
これからの経営環境を読み、自社の競争力や事業のあり方を考える上で、欠かせない視点です。
北九州GXビジネススクールでは、GXの背景や最新動向を学ぶだけでなく、自社にとっての意味を考え、具体的なアクションプランに落とし込むところまで支援します。
GXを入口に、自社が抱えるさまざまな経営課題を見直す。そして、専門家や地域企業とともに、次の行動へつなげる。
未来の競争力につながる第一歩を、一緒に踏み出してみませんか?
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