(以下、コンソーシアム事務局員の個人的見解です。)

北九州GX推進コンソーシアムは、2023年の12月12日に発足しており、丸2年が経ちました。当初、個人も含む100社・者程度だった会員が、現在370を超えており、現在も増え続けています。ご参加いただき、大変ありがとうございます。「このコンソーシアムに入るといいことがあるかもしれない」という皆さんの期待の現れだと考えており、それを裏切らないようにしないといけません。

GX (Green Transformation)を取り巻く環境、プラスもマイナスも両面激しく動いていると認識しています。トランプ政権になっていよいよアメリカはパリ協定を離脱します。一方、先日の「そもそもGXウェビナー」でご講演いただいたとおり、アメリカも州によっては引き続きGXに非常に熱心です。GXや脱炭素の動きを牽引しているヨーロッパも、ウクライナ戦争を契機としたエネルギー価格の高騰などで、例えば洋上風力の整備にブレーキがかかっているという動きも聞いていますが、脱炭素をあきらめるという動きはなく、官民ともに巨額の投資をしたり関連政策を推進したりしている状況は変わりません。脱炭素に関連した環境産業を育成したいという狙いもヨーロッパにはあるようで、したたかです。

地球環境の現状については、いよいよパリ協定で目指すこととされている「産業革命以前と比較して地球の平均気温の上昇を1.5℃以内に抑える」という目標は、守れなくなりそうです。温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)などは、一度大気に出ると長く温暖化に影響を与えると言われており、今の水準で世界が温室効果ガスを出し続けると、1.5℃を超えるレベルになるのはあと数年(4〜5年程度)との指摘もあります(大気に出せる温室効果ガスの余力については、「カーボンバジェット」という考えがあり、それがいよいよここ数年で底をつきそうです)。科学的には、例えばサンゴ礁について、1. 5℃を超えると70-90%が死滅、さらに2℃を超えると99%以上が死滅すると言われています(IPCC第6次報告書)。各国が掲げた温室効果ガス削減目標であるNDCを足し合わせても、2100年頃までには2℃を超えてしまうと先日のブラジルでの気候変動に関する国際会議でも話題になったようです(ブラジルの会合のポイントはこちら)。

GXと似たような話としてSDGs(持続可能な開発目標)があります。そこでよく言われているのが「できるところから始めましょう」です。何もしないところから「一歩進む」というのはとても大切なことです。ただ日本の場合、「できるところから始めましょう」が「できるところだけやればいい」になっていないか、とても気になっています。1.5℃の目標を超えてしまったとしても、少しでも温室効果ガスの排出を減らして、地球環境を悪い方向にもっていかないようにすることが大切で、我々の努力が「できるところ」にとどまっていると、「サンゴ礁死滅にトドメを刺したのはあなたたち世代」と将来世代から後ろ指を指されかねません。そして、サンゴが死滅する裏側で、多くの自然災害・人的被害も生じることとなります。

日本政府も手をこまねいているわけではなく、GX推進法の制定や20兆円のGX経済移行債を活用したGX投資促進など、様々な具体的取組を進めています。ただ、地球環境が求めている温室効果ガス排出の削減や気候変動被害を極力抑えるための適応策推進という点で、まだまだ十分ではなく、その速度を加速する必要があります。

(後編に続く)