企業のGXの取組が進むには何が有効でしょうか? 一番は、「GXとか難しいことを言わずにその取組が得をする」という状況になることだと思います。例えば、昨年出版された国連のレポートでは、2010年から2022年の間の状況として、多くの国で、資金支援がなくても太陽光発電と風力発電が、化石燃料を基礎とした従来の発電に比べて安く発電できる状態になっているとされています。その結果、2024年には、世界の新設された発電容量の92.5%が、また発電量の増加としても74%が、再生可能エネルギー起源であると報告されています。

しかし日本はそこまでの印象はまだないですよね? 補助金などの資金支援やGX推進法といった後押しの仕組みは徐々に整備されつつありますが、「GXに取り組んだ方がとにかく得」と単純にはまだ言えない状況だと思います。

では、そこを変えていくにはどうしたらいいか。「GXに取り組んだ方が得」とされる社会をつくるには、関連の法律などの公的制度によるルールづくりが充実し、それによってG Xが後押しされないと難しいです。そこがないと「がんばった人だけ損をする・負担が大きい(意識の高い者がバカを見る)」ことになって、なかなか取組が拡がりません。そして、その制度の充実に必要なのは、結局は、国民・市民や企業などの「充実を求める(政治的な)声」が強くなることだと思っています。「強くなる」というのは、「GXが進むといいなぁ」くらいの気持ちではなく、「GXに取り組んだ方が得になるよう公的制度を変えてくれないと困る」という切実な声が、企業や国民・市民の大多数に共有されることだと思います。これがまだ日本では弱い印象です。そもそも日本ではそういう「政治的な声」づくりは多くの人に敬遠されているように思いますし、「毎年夏がとても暑くなっているのは困るけれども、それが気候変動の結果であるとは言い切れないんでしょ?」というように、気候変動問題そのものに懐疑的な方も結構いるのではと推測します。