松本工業株式会社(北九州市)は、自動車の座席フレーム(金属製の骨格)接合を、従来のアーク溶接に代わり金属同士をプレス機で接合することで行う、二酸化炭素(以下CO2)をほとんど排出しない世界初の溶接レス接合工法「Jmec®」を開発されました。

自動車部品のアーク溶接による接合では、アーク放電により数千度の熱を発生させて金属を溶かし、接合部の強度低下を防ぐために1分間当たり15リットルほどのCO2を直接吹きかけて溶融部に空気が触れないようにするなど、大量のCO2が排出されます。

同社では溶接作業で年間100トンほどのCO2を大気中に直接排出していましたが、「Jmec®」の導入で、プレス機を動かすための電気が発電所でつくられる際のCO2排出量を考慮しても、同じ部品を溶接した場合に比べてCO2排出量を10分の1以下に減らせると見込まれています。

また、この工法では座席フレーム製造時のCO2削減だけでなく、軽量化による自動車そのものの燃費の向上や、輸送を含めた製造コストの削減が期待できるなど、自動車メーカーにとって非常に魅力的で付加価値を高めるものとなっており、溶接置換が可能になれば自動車分野にとどまらずに様々な分野に大きな影響を及ぼす可能性を秘めていると言えます。

まだ国内でのscope3算定の動きは緒に就いたばかりですが、同社では脱炭素の動きをいち早くとらえ、技術革新・高付加価値を実現する成長の機会とされています。

「カーボンニュートラルを成長の機会に」の好例として、ぜひご参考ください。

松本工業株式会社HP https://www.matsumoto-kk.co.jp/