相談企業の概要

当該企業は、港湾・漁港の設計を主軸に、河川、海岸、橋梁、上下水道など、幅広い土木分野における調査、設計、水理実験を手掛けている建設コンサルタント会社です。
長年の経験と技術力で、地域社会のインフラ整備に貢献し、安全で豊かな暮らしを支える基盤づくりを担っています。

相談内容

◆当初抱えていた課題

GXスクール
こちらのスクール参加後、社内体制を整備し、自社の行動計画を策定しましたが、どこから着手すべきか効率的な進め方が不明という課題を抱えていました。RE100、エコアクション21、SBTなど多岐にわたる認証の中からどれを選択すべきか判断に迷い、社員の脱炭素に関する理解不足も感じていました。

◆支援希望内容

行動計画の具体的な進め方に関する助言、および省エネや再生可能エネルギー調達の手続きに関する事例を含む情報提供を希望していました。具体的には、CO2排出量を把握して削減計画を作成し、再生可能エネルギーへの切り替えや職場の省エネ化を進めたいという意向でした。

コーディネーターによるヒアリング内容と支援の方向性

同社は、企業価値向上、受注機会拡大、資金調達の優位性確保などを目的としてGX推進に取り組んでいました。ヒアリングを踏まえ、コーディネーターはSBT申請に必要なScope1, 2のGHG排出量把握のためのデータ入力支援を提案。再エネ活用については、北九州市の脱炭素電力認定制度の活用やオンサイトPPAの助言を提示しました。また、省エネ啓発や設備更新には九州電力との連携を決定し、本支援を通じて企業価値向上に繋がる行動計画を具体化し、実行に移せるようにすることを目標と設定しました。

専門家による支援内容

本支援は計3回実施されました 。

IGES様による支援(1回目)
SBT申請のためのScope1, 2排出量算定については、IGESからExcelファイルを送付し、データ入力支援を行いました。また、省エネ推進や再エネ活用に関する検討、特に社屋の耐震性基準対応と合わせた設備更新について話し合い、九州電力への連携を決定しました。

九州電力株式会社様による支援(2回目)
同社の企業価値向上に資する脱炭素の取り組み希望に対し、再生可能エネルギー電気への切り替え、北九州市環境局の脱炭素電力認定企業取得、太陽光PPA、EV充電、省エネなど幅広い内容についてヒアリングを実施しました。北九州パワーの地産地消電力(市ごみ発電)も再エネ電力の候補として確認され、同社にて優先順位を確認後、九州電力へ再連絡することで一旦支援を終えました

一般社団法人エネルギーマネジメント協会様による支援(3回目)
断熱材や窓ガラスの更新で活用できる「脱炭素リノベーション事業」の補助金について説明がありました。申請にはBPI1.0以下にする必要があり、設計事務所によるモデル入力法での確認が必要であること、また北九州市の省エネ補助金も断熱材・窓ガラスが対象となるが、再エネ電力が必須であることなどが説明されました。北九州パワーの再エネ電力に切り替えていることを踏まえ、来年度補助金があった際に北九州市の補助金を活用することを推奨しました。

実施後のコーディネーターによるヒアリング

◆コーディネーター所感
市の環境部門だけでなく、スタートアップ支援、中小企業支援などの方面で、今後ともよい関係が継続できればと思う。
世界の経済状況がGXに対して逆風であっても、気候変動は現実に起こっており、いずれ対策しなければならない、なのでいずれ戻ってくるという軸足のしっかりした見通しを語っていただき、ぜひ協力できることがあれば協力していきたいと考える。