コンソーシアムの未来共創部会の活動として、木造建築をテーマとした講演会「GXから見た近未来の木造建築を考える」を開催しました。
 木造建築は、二酸化炭素(CO2)を固定させ、地球温暖化防止のためのカーボンニュートラル化に資する省エネルギー技術など様々な取り組みが行われている中の重要な施策の一つです。また、現代の木造建築では快適性、省エネ、環境面から見た多くの新しいデザインが提案され、さらに試作、実験が繰り返され、社会実装となったものも多くその期待が高まっています。
 未来共創部会ではこの「木造建築」をテーマに取り上げ、産学官金の様々な知やリソースを集結して北九州の地から次代を担う新たな発想や提案、さらに広く社会実装を推し進めます。

 今回は、キックオフとして4名の方にご講演いただきました。
 まず初めに都市木造建築の第一人者であられる東京大学の腰原教授からは、「4階建て木造ビルの構造システム」をテーマに、都市木造のあり方について「地産都消」というキーワードで近未来の木造建築での都市、産地についての役割をわかりやすく解説頂きました。

 次に、構造設計が専門の近畿大学の藤田准教授からは、「都市部での一般建築の木質化の可能性」をテーマとして、「CLTのユニット化と戸建住宅を含む小・中規模建築への適用」について、様々な木造建築の事例を紹介いただきながらお話いただきました(CLT(=Cross Laminated Timber: 繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料で優れた耐震性、耐火性等の特徴をもつ)。

 さらに市内企業の大英産業株式会社の一ノ瀬代表取締役社長からは、事業経営者として、会社理念や脱炭素化実現に向けて環境配慮型住宅の開発・普及を進めるための、「共感」するストーリーの重要性等についてお話いただきました。

 最後は、北九州市立大学の福田教授より「Mass Timberの可能性」をテーマに、様々な先進的な研究(耐火、ロボット活用等)について詳しく解説をいただきました。その中の一つとして北九州市立大学内に建設された 「高機能木材研究所」の建設コンセプトや機能性、完成までの経緯等についてさらに詳しくお話をいただきました。

 講演会に引き続き、福田教授から紹介のあった、「北九州市立大学・高機能木材研究所」を見学し、構造設計を担当した藤田教授、研究所で研究活動をされている福田教授よりそれぞれ研究所の特徴等について説明いただきました。少し肌寒い中でしたが広い空間にもかかわらず簡易な暖房のみで底冷えもなく大変暖かかったのが印象的でした。 今回の講演会は聴講者の方々も熱心に耳を傾けられており、次の部会活動へつながる機運が高まったと感じることが出来ました。

講演会概要

・日  時:平成6年12月11日(水)14:00~18:35(開場13:30)
・会  場:北九州市立大学 ひびきのキャンパスN棟133教室
・見学会:北九州市立大学 高機能木材研究所(同大学内)
・交流会:HIBIKINO ODORIVA(産学連携センター1F)

プログラム

【講演会】
 14:00~14:05 主催者挨拶
 14:05~14:50 「4階建て木造ビルの構造システム」
         東京大学生産技術研究所 教授 腰原 幹雄氏
 14:50~15:35 「都市部での一般建築の木質化の可能性」
         近畿大学工学部 建築学科 准教授 藤田 慎之輔氏
 15:35~16:05 「地域密着・住まいづくり企業の取組と課題」
         大英産業株式会社 代表取締役社長 一ノ瀬 謙二氏
 16:05~16:35 「Mass Timberの可能性」
         北九州市立大学 国際環境工学部 建築デザイン学科 教授 福田 展淳氏
 16:35~16:40 休憩
 16:40~17:10 講演者質疑応答(ファシリテータ:北九州市立大学 教授 福田 展淳氏)
 17:10 閉会
【見学会】
 17:15~17:40 北九州市立大学 高機能木材研究所(ひびきのキャンパス内)
【交流会】
 17:50~18:35 HIBIKINO ODORIVA(産学連携センター1F)

 <講演会の様子>

<見学会の様子>

<交流会の様子>

●近畿大学藤田准教授の講演資料はこちら
 →https://show.zohopublic.com/publish/0lgcd45e63822107f4e6c878b0f8e313b71d2

●大英産業株式会社 一ノ瀬代表取締役社長の講演資料はこちら

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