健全な地球環境なくして持続可能な社会は語れません。今の地球環境は危機的状況にあり、世界の科学者は、現在の社会経済のあり方に警鐘を鳴らしています。GXは、持続可能な社会を実現するために必要なアクションです。

GXは持続可能な社会(カーボンニュートラル社会)を実現するための変革です。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、今の経済社会活動の先には、壊滅的な変化が生じる恐れがあることを指摘しています。1その上で、IPCCは、そのような事態を避けるために「1.5℃目標」2を追求すべきであり、そのためには、これから排出されるCO2の量を4000億トンまでに抑える必要があるとしています。現在の排出状況3のままでは10年ほどでその値を超えてしまうため、今すぐアクションが必要なのは明らかです。

さらに、9つの項目で地球環境の「健康診断」を行ったストックホルム・レジリエンス・センターの分析では、気候変動を含む6項目ですでに限界(バウンダリ―)を超えていることが明らかにされています。4人間におきかえれば、血圧が基準値を超えたからといって確実に心臓発作が起こるわけではないものの、合併症などのリスクを回避するためにアクションを取るはずです。同様に、地球への複合的な圧力が不可逆的な変化と被害をもたらすような事態になる前に、対策を取った方が合理的です。

健全な地球環境は、私達の社会経済の基盤です。その基盤を揺るがせないためにカーボンニュートラル社会の実現が必要であり、そのためにGXを推進しなければなりません。

  1. IPCC. “Climate Change 2021: The Physical Science Basis”. https://www.ipcc.ch/report/sixth-assessment-report-working-group-i/.
  2. パリ協定(COP21、2015年)およびグラスゴー気候合意(COP26、2021年)の下で合意された気候変動対策に関する世界共通の目標。
  3. 2020年の世界の二酸化炭素排出量は約314億トン。(出典:全国地球温暖化防止活動推進センター(JACCCA). “世界の温室効果ガス排出量”. https://www.jccca.org/global-warming/knowleadge04. 参照 2024-03-27)
  4. Stockholm Resilience Center. “All planetary boundaries mapped out for the first time, six of nine crossed”. 2023-09-13. https://www.stockholmresilience.org/research/research-news/2023-09-13-all-planetary-boundaries-mapped-out-for-the-first-time-six-of-nine-crossed.html/.