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- 2025.11.7
ネイチャーポジティブと企業の関係

曽根干潟の夕日 写真提供:(C)北九州市
皆さんは自然は好きですか?
昨今、自然を支える生物多様性がどんどん減少しています。
そもそも生物多様性って何でしょうか?
”生物多様性″という言葉には3つのレベルがあります。
1つ目は「生態系の多様性」で、森林、里山、河川、湿原、サンゴ礁など、いろいろな場所で様々な生態系が存在している状態です。
2つ目は「種の多様性」で、動植物から細菌などの微生物までいろいろな生きものがいる状態です。
3つ目は「遺伝子の多様性」で、同じ種でも異なる遺伝子を持つことで、形や生態などに個性がある状態です。
これらの多様性があることで、私たちは様々な恵みを受け取ることができます。
この自然から受け取る恵みを”生態系サービス“と言います。例えば、「供給サービス」は食料や燃料など、生活に重要な資源を受け取ることをいい、「調整サービス」では、生態系が自然環境を調整することを差し、森林による自然災害の抑制や、空気や水の浄化をしてくれる機能もこれに該当します。
また、私たちがキャンプやハイキング、きれいな自然の景観で癒されることや、文化的に楽しむことは「文化的サービス」と呼ばれます。
そして、供給・調整・文化的サービスの基盤となるのは、光合成による酸素生成・土壌形成・水・栄養の循環を生み出す『基盤サービス』です。
(引用:電機・電子4団体 生物多様性WG LSB)
こう聞くと、私たちの生活に「生物多様性」の存在は欠かせないことが分かります。
特に「文化的サービス」には馴染みの多い方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現在、地球温暖化等が原因で生物多様性が損失している現象を食い止め・反転を目指そうという考えが「ネイチャーポジティブ」です。
この「ネイチャーポジティブ」という概念は、ネイチャーポジティブ・イニシアティブというNGO、企業金融、自治体、報告枠組み、自然と気候変動、助成金、大学・研究機関等の27機関が核となるグループが共通の理解・合意を作り出す取組として発案しました。
▶The Nature Positive Initiative
このネイチャーポジティブの実現には、これまで実施してきた、いわゆる自然保全活動や外来種の除去だけでなく、カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーの活動も必要と言われています。
つまり、企業の関わりがとても重要となってきます。
環境省も2024年3月「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」を発表し、2025年7月には「ネイチャーポジティブ経済移行戦略ロードマップ(2025-2030年)」を発表しました。
▶ネイチャーポジティブ経済移行戦略の公表について | 報道発表資料 | 環境省
▶「ネイチャーポジティブ経済移行戦略ロードマップ(2025-2030年)」の策定について | 報道発表資料 | 環境省
もう従来の自然保全活動だけでは、生物多様性の損失を止められないということです。
では、実際に企業にとってネイチャーポジティブな活動って何ができるの?と考えたときに、私は「なんでもあり」だと思っています。
例えば、以下はいかがでしょうか。
・ネイチャーポジティブに関連するセミナーやシンポジウムに参加してみる
・社員一人一人ができるネイチャーポジティブの活動を考えてみる
・CSRにネイチャーポジティブの要素を取り入れてみる
・会社のレクリエーションとして、ハイキングにでかけてみる
・会社で地域の清掃活動に参加してみる
・自治体へネイチャーポジティブの活動として、自社がしたいこと・できることを相談してみる
もっと会社の経営にネイチャーポジティブを取り入れたい方は、以下はいかがでしょうか。
・TNFDレポートに挑戦してみる
・ネイチャーポジティブを重視した経営を行う
・自社のサプライチェーンを分析し、自然資本への影響・依存を把握する
・ネイチャー・ファイナンスでの融資を検討する
などなど、「なんでもあり」です。
最も重要なことは「まずは、自社ができることをする」ということだと思っています。
TNFDでもスモールスタートを推奨しています。
北九州市は、今年5月に北九州市生物多様性地域戦略を発表し、北九州ネイチャーポジティブセンターを立ち上げました。
また、先週、産学官民が連携して取組を推進する体制として、「北九州ネイチャーポジティブネットワーク」会員の募集を開始しました。ぜひご参画ください。
●公募開始案内HP:https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/353_00005.html
●応募フォーム :https://ttzk.graffer.jp/city-kitakyushu/smart-apply/apply-procedure-alias/npnw/door
皆様が取り組むネイチャーポジティブの実現に活用ください。
また、ネットワークの設立イベントとして、「北九州市ネイチャーポジティブ経営シンポジウム」
【 日 時 】令和7年11月14日(金)14時~16時30分
【 場 所 】JR九州ステーションホテル小倉 飛翔の間
(北九州市小倉北区浅野1丁目1番1号)
【 定 員 】会場参加:150名、オンライン参加:1,000名
【参 加 費】無料
【プログラム】基調講演:「生物多様性の“かけがえのなさ度”と北九州市の挑戦」
㈱シンク・ネイチャー 代表取締役CEO 久保田 康裕
話題提供:①「ネイチャー・ファイナンスの最前線」
三井住友信託銀行㈱ フェロー役員 金井 司
②「日本企業のネイチャー・ポジティブへの取り組みの最新動向」
(公財)地球環境戦略研究機関 生物多様性と生態系サービスユニット
副ディレクター 高橋 康夫
パネルディスカッション:「北九州市内企業・団体が語る、私たちのネイチャーポジティブへの取り組み方」
【詳細、お申込み】https://www.iges.or.jp/jp/events/20251114
パネルディスカッションでは、市内企業3社、市内団体2者が参加します。
スタートアップ企業から大手企業、自然施設やまちづくり協議会の方も参加予定です。
こちらもぜひ奮ってご参加ください。
自治体・市民・事業者・研究機関・市民団体のそれぞれが考え「ネイチャーポジティブ」の実現に向けて、各社のスモールスタートが大きな波を起こします。ぜひ動き出しましょう