北九州GXエグゼクティブスクールでは後半、気温が4℃上昇した世界を想定したシナリオ分析を、グループワークとして実施しています。参加者が5~6人のグループにわかれ、各グループが、たとえば水産品加工業(売上高年間8000億)など、仮想企業の経営陣であるとして、4℃上昇した世界での経営環境の変化、想定すべきリスク、ビジネスチャンス、その対応はどのようになるか、グループワークを行いました。

もしあなたが水産加工会社の経営者だったら

もし貴方が、前述の水産品加工業の経営者で、自社の加工工場を新設するとします。
候補地選定にあたり、チェックすべきポイントはどこでしょうか。港に近い海抜1mの場所ではどうでしょうか。港は近いかもしれません。しかし、4℃気温が上昇した場合、気象庁の報告書によると、日本沿岸の平均海面水位は、0.71m上がると予測されてます。台風、高潮による損壊の危険も増すでしょう。
「日本の気候変動2020-大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書」(文部科学省 気象庁)

また、海水温が上がると、生態系が変わります。調達する魚の種類が変われば、工場設備も入れ替えになる可能性があります。
水産品加工のための熱源は、何を採用すべきでしょうか。既に、「化石燃料賦課金」の導入(2028年度~)が予定されています。
また、冷蔵装置の性能も考慮する必要があるでしょう。

GXを「我がごと」ととらえるためのヒント

実際のグループワークでは、経営層の方が多いためか、明確な事業内容が想定され、、潜在リスクの探索も多岐にわたり、対策検討も具体的なものから想像力を働かせたものまで、ウィットに跳んだ発表がなされました。

さて、これまで記載してきた「もしも世界の平均気温が4℃上昇したら」のシュミレーションを、ご自分の事業に置き換えてみたとき、危機感を感じる事項が、少なからずあったのではないでしょうか。

日本では、気候変動を「我が事」としてとらえる人が少ない状況です。 ぜひ、一度想像して、すぐそこにある社会変動をとらえていただければ幸いです。