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- 2024.12.6
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化石燃料を正しく理解しよう
近年、炭素、CO2とならび悪者扱いされている「化石燃料」ですが、きちんと理解できているでしょうか?
今回は「化石燃料」について少し掘り下げてみたいと思います。
化石燃料ってなに?
化石燃料は何億年も前の動植物の死骸が、長い年月をかけて圧力や地熱などにより変成し化石となったものです。
主に石炭、石油、天然ガスがあり、近年ではシェールガスやメタンハイドレートなどもあります。
燃料として燃焼させて利用するほか、プラスチック製品などの原料としても利用されています。
使用する際にCO2や窒素酸化物などの温室効果ガスを排出するため、近年の気候変動の原因であるとして目の敵にされています。
石炭
石炭は「黒いダイヤモンド」とも呼ばれ、かつての北九州の経済発展を支えてくれた大切な存在です。
太古の植物、特に石炭紀時代(2億年~3億年前)の巨大なシダ類と、第三紀時代(2千5百万年~6千万年前)の針葉樹類などが堆積したものが、様々な作用を受け石炭になったと考えられています。
日本で石炭が発見されたのは、1469年(文明元年)、現在の福岡県大牟田市にあたる三池村稲荷村の百姓の伝治左衛門が、近くの稲荷山に薪を取りに行った際、枯れ葉を集めて火を点けると、地上に露出していた黒い岩が燃え出したと伝えられています。その時の伝治左衛門さんは、さぞかし驚いたことでしょうね。
その後、17世紀後半には、家庭用燃料として利用されており、18世紀初頭には産業用に使用され始め現在に至ります。
現在では主に石炭火力発電の燃料、製鉄で使われるコークスの原料などに利用されています。
最近では石炭から水素を作り出す取り組みも進められています。
石油
石油はプランクトンなどの生物の死骸が、諸々の作業を受け変化してできたものだと考えられています。
日本では石炭よりもはるかに古く、「日本書紀」に668(天智7)年、越の国(現在の新潟県)から燃える水・燃える土が近江大津宮に献上されたとの記述が残っているそうです。
石油が地中に貯まっている場所を油田と呼び、油田から採掘されたままの石油は原油と呼ばれます。
原油は精製の過程を経て、燃料(LPガス、ガソリン、灯油、軽油、重油、ジェット燃料など)、ナフサ、アスファルトなどのいろいろな種類の石油製品に分けられます。
ナフサは、さらに熱分解を進めることでさまざまな基礎化学品を取り出すことができ、そこからプラスチック、合成繊維、合成ゴム、合成洗剤、塗料などが製造されています。
近年はこのナフサに替わる、植物などを原料にした「バイオナフサ」の取り組みが進められています。
また、燃料についても「バイオディーゼル」などが開発されています。
天然ガス
天然ガスは基本的に石油と同じく、プランクトンなどが変化してできたものだと考えられています。
日本では1872年(明治5年)10月31日に、横浜の馬車道にガス燈が灯り、その後、10月31日は「ガスの記念日」と定められています。
天然ガスの主成分はメタンで、燃焼時の温室効果ガスの排出量が、石油や石炭などと比べて少ないため、移行期のエネルギーとして期待が集まっています。
しかしながら、メタンそのものも温室効果ガスであり、CO2の約21倍の温室効果があるため、扱いに注意が必要です。
また、輸送・貯蔵時には液化天然ガス(LNG)が利用されますが、これは天然ガスを-162℃以下に冷却して液体したものです。
その他
・シェールガス/シェールオイル
シェールオイル・シェールガスのシェールは、頁岩(けつがん)という堆積岩のことです。
シェール層は従来のガス田より深層にあり、存在は知られていたものの、採掘技術が追い付いていませんでした。2000年代になり、新技術の開発により採掘が可能になり、化石燃料の埋蔵量が大幅に増えると期待されています。
・メタンハイドレート
メタンハイドレートとは、メタンガスが水分子と結びつくことでできた、氷状の物質です。
火を近づけると燃えるため「燃える氷」とも呼ばれています。
海底や永久凍土地帯の地層内に氷状になって存在しており、日本の周辺海域にも大量に存在していますます。
海底深くにあるため採掘が難しく、取り出し利用するための技術研究が進められています。
まとめ
繰り返しになりますが、化石燃料は何億年も前の動植物の死骸が、長い年月を経て、さらに圧力や地熱などの作用がかかり、ようやく出来上がるとても貴重なものです。
また、産業革命以降の発展を支えてくれた大切な存在でもあります。
しかし、埋蔵用が限られている資源であるため可採年数の問題や、もちろん温室効果ガス排出による気候変動など大きな問題も抱えています。
今後は代替となるエネルギーや原料の開発などを通して、化石燃料の使用を少しでも減らしていく工夫が必要です。