気候変動対策などの社会課題の解決を目的とした「ゼブラ企業」が、大きく注目を集めています。
似たような言葉で「スタートアップ企業」や「ユニコーン企業」などというものもありますが、今回はそれぞれの定義について、少し整理していきたいと思います。

スタートアップ企業って?

まずは「スタートアップ企業」です。その言葉から起業して間もない企業というイメージがありますが、経済産業省では一般的に以下の3点を特徴として挙げています。

1.新しい企業であって、
2.新しい技術やビジネスモデル(イノベーション)を有し、
3.急成長を目指す企業

2番目の「新しい技術やビジネスモデル(イノベーション)」の部分が重要で、社会課題に向けた新たな解決手法をもたらすことへの期待が持たれます。
また、3番目の「急成長を目指す」についても、短期的にM&AやIPOを目指していることも、通常の企業と異なる部分になります。

また、スタートアップ企業の中でも、特に社会課題の解決を意図している企業のことを「インパクト・スタートアップ企業」と呼びます。

ユニコーン企業って?

続いて「ユニコーン企業」です。一角獣ですね。
こちらは、2013年米国のベンチャーキャピタリストであるアイリーン・リー氏が提唱した概念で、以下の3点が定義されています。

1.創業10年以内である
2.評価額が10億ドル以上である
3.未上場である

2024年5月時点で1200以上の企業がユニコーン企業として世界中に存在していますが、日本にはわずか8社のみとなっています。どんな企業がユニコーン企業なのかご興味があれば、CBINSIGHTSのホームページにリストが掲載されています(https://www.cbinsights.com/research-unicorn-companies

ゼブラ企業って?

ようやく「ゼブラ企業」シマウマですね。
こちらは、2017年にユニコーン企業を称賛する風潮に危機感を憶えた米国の4人の女性起業家が提唱した概念です。特徴として以下の3点が挙げられています。

1.社会性と経済性の両方を追求するとともに、相利共生(集団・群れとしての共存)を大切にしている
2.社会的な認知度・理解の向上が必要な「社会的に複雑な」課題に挑戦している
3.既存の金融の仕組みにマッチせず、新たなお金の流れを求めている

企業利益のみではなく「社会的に複雑な課題」の解決を目的としている点、市場利益を独占することなく「相利共生」を目指している点などが大きな特徴です。急成長ではなく長期的にサステナブルな成長を目指すため、より難しい課題に腰を据えて向き合うことが可能になります。ただし、3番目にあるように、長期的に活動するための資金を得るための公共、コミュニティなどからの力を借りる仕組みが必要です。

まとめ

ここまで、「スタートアップ企業」「ユニコーン企業」「ゼブラ企業」の3つについて整理してみました。
いかがでしょう?よく耳にするキーワードですが、意外と認識が異なる部分もあったのではないでしょうか?
社会課題、中でも気候変動対応は喫緊の問題です。
企業の形はどうあれ、革新的なアイデアで少しでも解決へと導いてくれるような、新しい企業が誕生することを期待します。