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カーボンニュートラル
最近よく耳にする「カーボンニュートラル」ですが、そもそも何なのか?なぜ必要なのか?少し紹介したいと思います。
カーボンニュートラルとは?
カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量と吸収量を同じにする、すなわち温室効果ガスの増加量をゼロにすることを意味します。カーボンニュートラル実現のためには温室効果ガスの排出量の削減と、吸収作用のある森林などの保全強化を同時に行う必要があります。温室効果ガスの増加による気候変動への影響を少しでも抑えるために、一日も早いカーボンニュートラルの実現が必要です。
日本では、2020年10月に当時の菅総理が所信表明演説で、2050年カーボンニュートラルを宣言しました。世界でも120以上の国と地域がカーボンニュートラルを宣言し、実現への取り組みを進めています。
国 | カーボンニュートラル 実現年 | 2030年目標 |
---|---|---|
日本 | 2050年 | 2013年度比で46%削減し、さらに50%の高みに向けて挑戦 |
アメリカ | 2050年 | 2005年比で50%以上の削減 |
EU | 2050年 | 1990年比で少なくとも55%削減 |
中国 | 2060年 | カーボンピークアウトおよび2005年比でGDP当たりCO2排出量を65%削減 |
ロシア | 2060年 | 1990年比で70%に抑制 |
インド | 2070年 | 2005年比でCO2排出量を45%削減し、非化石燃料による電力供給を50%程度 |
ほとんどの国が2050年のカーボンニュートラル実現に向けて取り組んでいますが、非常に穿った見方をすれば、余程のことが無い限り2050年まで温室効果ガスは増加し続けると言えるかもしれません。
カーボンニュートラルが必要な理由
カーボンニュートラルが必要な最大の理由は、温室効果ガスを減らし地球の平均気温上昇を抑える事にあります。
2015年のパリ協定では、世界共通の長期目標として「世界の平均気温の上昇を工業化以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求すること」が合意されています。しかしながら、下図の通り工業化以前(1850年~1900年の平均値)と比較して、2023年時点ですでに1.5℃近くまで上昇してしまっています。また、2010年以降の気温上昇が顕著にあらわれています。
それでは、世界の平均気温が上昇したら何が起こるのでしょう。猛暑や豪雨、干ばつ、海面上昇、感染症の増加、森林火災などの発生が予想されています。IPCCの第6次報告では気温上昇レベルによって災害の発生頻度が下表のように報告されています。
まとめ
2023年にUAEで開催されたCOP28では、パリ協定での目標達成に向けた進捗状況を評価する「グローバルストックテイク」が初めて実施されました。評価結果としては「世界の気温上昇を1.5度に抑える」という目標まで隔たりがある(オントラックではない)とされ、行動と支援が必要であることが強調されています。
2050年までの目標と言われると、まだまだ余裕がありそうですがそんなことはありません。すでに影響は出ています。将来的にも安心して暮らせるように、まさに今、カーボンニュートラルに向けて取り組みを進めて行く必要があります。