数年前、公開して間もない頃のChatGPTに「北九州の名物を教えて」と聞いたときに「小倉トースト」と答えられたことがあります。
これはもちろん誤情報、ハルシネーションというやつですね。「小倉トースト」は、厚切りの食パンにバターとたっぷりのあんこをのせた名古屋発祥の名物、いわゆる「名古屋メシ」の一つとして有名です。ハルシネーションが起こった理由も明白で、北九州の新幹線の駅名としても知られる「小倉(こくら)」と「小倉(おぐら)」を混同してしまったためだと推察されます。ではこの「こくら」と「おぐら」って何か関係があるのでしょうか?

まずは「こくら」の由来から。大和朝廷の直轄地として穀物を保管する倉(屯倉(みくら))から来ているという説や、かつての地名「企救の浦」が訛って「こくら」となったなどの説があるようです。

次は「おぐら」ですが、京都の小倉山(おぐらやま)から来ているそうです。こちらは峰に紅葉が美しく色づく様子から「おぐら(暗い、また紅葉が点在する様子)の山」と呼ばれたという説があり「こくら」とは関係ないようです。
ちなみに「小倉山」は藤原定家が小倉百人一首をまとめた小倉山荘があることでも知られ「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの みゆき待たなむ」と詠われていることでも有名ですよね。

さて「こくら」と「おぐら」は無関係とのことはわかったのですが、次は「小倉山」と「小倉トースト」の関係ですが、こちらはあんこの種類「小倉あん」から来ています。あんこには「こしあん」「粒あん」など様々な種類がありますが、「小倉あん」はこしあんに蜜煮した大粒の大納言小豆などを混ぜ合わせたものだそうで、なかなかに手の込んだ贅沢な仕様になっています。
名前としては小倉山の近くで栽培した大納言を使ったからという説や、小倉山にいた鹿の毛並みの斑点模様に例えられた説などがあり、いずれにしても京都の小倉山由来であることは間違いないようですね。

さて「あんこ」と言えば、あんこの入った「饅頭」の名前の由来をご存知でしょうか?こちらは中国の三国志の時代まで遡ります。
蜀軍が南蛮を平定した帰り道、瀘水という川が荒れ狂い渡ることができず、軍隊は足止めされてしまいます。すると、地元の門番によると川の神の怒りを鎮めるには「49人の首を切り、祀るという言い伝えがある」とのこと。それを聞いた有名な蜀の軍師、諸葛孔明は「合戦で多くの人命が失われたというのに、これ以上殺すなどできない」と拒否し、かわりに小麦粉をこね、中に肉をつめ、人の頭の形にして川に投げ入れて祈祷すると、翌日氾濫は鎮まり蜀軍は無事に川を渡ることができたと言うことです。
つまり「饅頭」の「頭」は49人の切られるはずだった人間の頭から来ていたんですね。怖ろしい話です。

地名や食べ物などの名前ですが、意外な由来があるものもたくさんあるようです。ちょっと調べてみると面白いかもしれませんよ。
ただしAIで調べる際は、くれぐれもハルシネーションにはお気をつけくださいね。