「脱炭素」や「ゼロカーボン」など、最近では親の仇のように悪者扱いされがちな「炭素」ですが、皆さん正しく理解できているでしょうか?
孫氏曰く「彼を知り己を知れば百戦殆からず」です。「炭素」について正しく理解してみましょう。

原子番号6 元素記号C

元素周期表の6番目、「水平リーベ僕の船」の「僕」の「く」の所に位置する、元素記号「C」の物質であることは良くご存じかと思います。
原子の結合の違いで実に様々な性質を持ち、自然界では最も硬い物質であるダイヤモンドから、鉛筆の芯でおなじみ黒鉛(グラファイト)、脱臭剤などで使われる活性炭などが炭素で組成されています。また、炭素は通常の気圧では昇華点を持たず、36気圧下で3,370℃で昇華するそうです。

地球上では必ずしも多い物質ではなく、地表および海洋分布ではわずか重量比0.08%しか存在しません。また、宇宙レベルで見ると、水素、ヘリウム、酸素について4番目に多いとされていますが、こちらも水素とヘリウムで全体の99.8%を占めると言われており、やはりちょっとだけです。

人の体は約60%が水分というのは割と知られていますが、元素レベルで見ると酸素65%、炭素18%、水素10%、窒素3%と続くそうで、炭素は2番目に多くなっています。

有機物、無機物という考え方がありますが、有機物の定義は「基本的に炭素を含む化合物のうち、一酸化炭素や二酸化炭素のような簡単な化合物を除いたもの」だそうです。古くは有機物は「生物がつくりだす物質」と定義されていたそうで、「生命活動」≒「有機物の製造」とも言えます。炭素自体は生物・生命と切っても切れない関係性にある、なくてはならないものであると言っても過言ではなさそうです。

温室効果ガス

さて、とっても重要な「炭素」ですが、昨今問題にされているのは正確には「二酸化炭素」です。二酸化炭素には大気中の熱を吸収する「温室効果」があり、二酸化炭素が増えすぎてしまったために世界の平均気温が上昇し、気候変動が発生しています。
しかし、この温室効果ガスがなければ地球の平均気温はマイナス19℃位と言われています。温室効果ガスがないと、寒くてやはり生きていけそうにありません。
温室効果ガスをうまくコントロールすれば、夏は涼しく冬は暖かく、なんてこともひょっとしたら遠い未来には実現できるかもしれません。
ちなみに、二酸化炭素の濃度は産業革命前のおよそ280ppmから、2022年時点で約418ppmと約50%増加しており、その主な原因は石油や石炭などの化石燃料の燃焼です。

まとめ

「炭素」も「二酸化炭素」も、人間が生きていくためにとても必要なものです。
「脱炭素」は、正確には「脱経済活動での二酸化炭素排出」もしくは「脱化石燃料」、「ゼロカーボン」も正確にはカーボンニュートラルと同義の「”ネット”ゼロカーボン」ですね。正確な意味を理解した上でのご使用をお願いします。
「炭素」は決して親の仇ではないので嫌わないであげてください。むしろ親の仇は、化石燃料を燃やして大量の二酸化炭素を発生させた人間です。これまでの罪滅ぼしのために、これ以上の気候変動を引き起こさないよう一人一人が行動する責任がありますね。